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十二年目の一軍

野いちごの場所で・33・十二年目の一軍

                                         たんぽぽ教育研究所 大崎博澄


 夕食の片付けが済み、洗濯物をたたみ、明日の朝食、お弁当の準備も整った後、やれやれと一息ついてプロ野球のナイターを見るのが、ぼくの人生に許されたささやかな自分の時間。今時、時代遅れだけれど、何を隠そう、ぼくはかなり熱心なプロ野球ファン。ぼくの年代の人の少年時代の楽しみと言えば、野球、相撲、漫画雑誌くらいだったからねー。ぼくはボールを扱うのは極端に不器用、下手くそだったけれど、子どもの頃からなぜか野球が大好きだった。
 ぼくの場合は贔屓のチームが監督によって変わる。そこが少し人と違う。古くは西本監督の近鉄、三村監督やルーツ監督の広島、権藤監督の大洋、ボビー・バレンタインのロッテ、野村監督の阪神、楽天。最近では栗山監督の日本ハム。ポリシーのあるリーダーが率いる弱いチームが好き。金も人気もある強いチームは基本的にぼくの贔屓の選択肢に入らない。
 ところが、今年は少し月並みだが、ぼくの贔屓は金本監督の阪神。金も人気もある球団だからぼくの思想に反するが、ここ一番の勝負弱さ、軸になる選手が投手にも野手にもいない、つまり弱いところはぼくの趣味によく合っている。
 金本さんは人気も実力も飛び抜けたプレーヤーだったから、就任早々からファンの期待は沸騰。ただ、監督としての能力は人気とは別。ぼくは、キャンプからずっと彼の監督ぶりを観察していた。そして、あることがきっかけで、今年は金本阪神を応援しようと決めた。
 ひと昔前、阪神に社会人野球松下電器から岡崎太一というキャッチャーが入団した。期待されていたが、なぜか彼はほとんど一軍の試合に呼ばれることが無かった。ぼくは岡崎の名前を忘れていなかったが、もうとうに首になっただろうと思っていた。
 驚いた。彼はまだ野球をやっていた。プロ入りして十二年目の春、彼は一軍に呼ばれた。金本監督は岡崎捕手をディフェンスでは一番と評価し、自ら打撃指導もしたそうだ。岡崎は開幕からずっと一軍にいる。
 彼が今年、遅咲きの花を咲かせるかどうかは分からないが、一、二軍に育成を加えると、100名近くいるだろう選手の一人ひとりを見ている監督がいるということは、多くの無名の選手達には、ものすごい勇気を与えるのではないだろうか。
 監督の仕事として一番大事なことは、ピッチャーの替え時の見極めでも、バンドやエンドランの作戦でもなく、何処にどんな選手が埋もれているか、彼が日頃どんな努力をしているか、そこをしっかり見極めること。ぼくはそう思う。
 阪神は今年も相変わらず勝負弱い。ここぞという時に打てない。守れない。先発の頭数はそろっているが、中継ぎ、救援はよれよれ、勝利の方程式はなかなか確立できない。そのあたりは去年までとあまり変わらない。
 超変革をスローガンにする金本監督のもとで変わったのは、見たことも聞いたこともない選手がどんどん起用されるようになったこと。横田、北条、板山、原口、岩貞、横山、なんのこっちゃ。彼らがたまにいいところで打つ。岩貞は先発では一番安定感がある。原口は育成あがりの苦労人だが打撃は非凡。
 かと言って、ロートルが忘れられているのではない。狩野も新井良太も大事な場面で出番がある。努力の人、大和も今成もきちんと使われている。岡崎が先発マスクをかぶる機会は少ないが、たまに出場する彼の守備も打撃もひたむき。このひたむきさこそ、これまでの阪神に欠けていたものではなかったか。
 超変革というスローガンは、新しい未知数の選手を大胆に起用する、という意味だけでは無さそうだ。努力する者に等しくチャンスを与える、ということにありそうだ。今年の、相も変わらず弱い阪神にぼくが肩入れする理由はそこにある。
 さて、超変革に関わってぼくが注目していることが一つある。昨年来の長い長い不振にあえぐ鳥谷をいつ先発から外すか。彼は過去に何度も三割を打っている中心打者だが、ぼくは彼を強打者とは呼ばない。彼の打撃で勝った試合は歴史上ほとんど無い。彼がここぞという時に打てなくて負けた試合は数知れない。彼は六大学の花形、入団以来の特別待遇でここまで連続フルイニング出場を続けて来たが、最近は打てない上に自慢の守備もこころもとない。価値を伴わない個人記録のために若い選手の出場機会を奪っていいのか。金本監督の変革の真偽を、ぼくはこの決断ができるかどうかで見極めようと思っている。
 さて突然、教育の話。
 ぼくは今も、学校を訪ねる機会があればできる限り授業を見せていただく。それを楽しみにしている。もしかしたら、良い授業に出会えるのでは、と、いつもどきどきしている。ぼくが期待していることはただ一つ、至極単純なこと。先生が30人の子ども全員をしっかり見てくれているかどうか。教室の隅で黙っている子ども、先生の質問に手を上げることができない子どもに、さりげない励ましの視線を送ってくれているかどうか。
 この国の子ども達をめぐる生育環境は日に日に荒廃の度を深めている。教育は今、目に見えないけれど大きな危機に瀕している。しかし、巻き返すチャンスが無くはない。教育は実はそれほど難しいことではない。周りの誰かの、さりげない励ましの眼差し、それさえあれば、子どもは自分の力で育っていく。自分の力で育つ、それが昔も今も変わらない、教育で一番大事なこと。
 野球も同じ、選手は自分の力で育つ。そのために必要なものは指揮官のさりげない励ましの眼差し。
 さあ、今夜のゲーム、十二年目の一軍入りを果たした岡崎が先発マスクをかぶるかどうか、難病と闘っている左腕岩田はどこまで投げるか、打てない鳥谷がいつ先発からはずれるか、そんなところを見ていると、プロ野球もまだまだ捨てたものではない。
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