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もぅ一度、不登校を考える

先日、本当に久し振りに高知新聞に顔写真入りで登場したせいか、たんぽぽへのお客様が増えたような気がします。新聞の力はすごいですね。不登校のご相談もいくつかいただきました。十分に応えきれなかったこと、意を尽くせなかったことも多いなと反省しています。とても気懸かり。そこで、以前の不登校に関する講演の台本をいくつか調べて、比較的ましなものを再録することにしました。

 高知大学講義レジメ <不登校にどう向き合うか>
  2015.1.28(水)  8;50~10:20 (90分)
 
不登校に関する基本認識
  不登校は全国で統計上11万人、実際は数十万人
    様々な対策が講じられて来たが減らない、効果的な対策が無い、
原因も対応方法も分からない、由々しい教育問題
  不登校は、保護者・家族にも、教育関係者にも、世間一般にも理解されていない
不登校は、当事者やその家族個人の問題と世の中全体が勘違いしている
そのことが、当事者や家族の苦しみを一層大きくしている
不登校は、個人の問題ではない、社会問題である
  不登校は50年前には存在しなかった・個人に原因がある問題なら存在したはず
  不登校にはこの50年間に発生した生育環境の変化が関与しているはず
この50年間に子ども達の生育環境にどのような変化があったか
  小規模な一次産業が基幹産業である経済的格差の小さな社会から
  大規模な二次・三次産業が基幹産業である経済的格差の大きな社会へ激変
その結果何が起きたか
  自然環境が破壊された。過酷な競争社会が形成された、
経済格差の拡大が人々の絆を分断した、子ども達が社会性を育む場が失われた
人間は社会的動物、群れの中に居場所があって安心し、幸せを感じる生き物
人々の絆の喪失によって、群れの中の安心できる居場所が失われた
不登校は、社会構造の変化がもたらした社会現象、社会病理、社会問題だと
  考えなければ、現象の説明がつかない

少し余談
  私の子どももその当事者として、今も苦しみのさ中にある
我が子を支えながら、晩年を生きるのは、かなりハードな人生
これからの人生を、我が子がどのように生きるか・本人も家族も最大の気懸かり
しかし、どんな境遇に置かれても、自分らしい生き方を見つけることができれば、
必ず、ささやかな幸せに辿り着ける
  人生は自分の思い通りにはならない・しかし、それでも、自分の生き方次第で、
    ささやかな幸せには必ず辿り着ける
その経験者として、今、苦しんでいる当事者、家族、支援者にエールを送りたい
  私の話の中に、不登校を理解するヒントを見付け出していただければ幸い


まず大切な事は不登校をどうとらえるか・過酷な現実に向き合うための哲学
  不登校は恥ずべき事でも異常な事でも決してない
    学校は行かなければならないもの、という固定観念を捨て去るべき
    義務教育制度は、教育を受ける権利を保障する制度
    現代社会は強きを助け、弱きを挫く、過酷で不条理な競争社会
    学校は否応なく現代社会の縮図、必ずしも健やかな成長を保障する場ではない
不登校は不条理な現代社会に対する当然の自己防衛行動、異議申し立て
  だから、恥ずべき事、異常な事、悪い事では決してない
  不登校は本人の(資質の)責任ではない・家族の(育て方の)責任でもない
    個人の責任にすることは問題を矮小化すること、真の問題解決から遠ざかること
不登校は過酷な競争社会がもたらした社会病理であり、社会全体の責任である
  ゆえに、本人の病気を治す、本人の気持ちを切り替える、という考え方に立たない
現代社会の不条理、過酷な競争社会、失敗や挫折からの出直しを困難にしている
社会構造を治す、という考え方に立ちたい
  難しいことだけれど、こういう原理原則を踏まえて現実に向き合うことが大事

家族として、支援者としてどう向き合うか
  最善の対応マニュアルは何処にも無い、誰も知らない <渡辺位先生の講演の話>
お話することは私の経験から得た仮説
  まず、大切な事は、当事者との信頼関係を築くこと
    私がたんぽぽでお話を聴きながら注目しているのはただ一点
この親子にまだ信頼関係は残っているか、それは支援者においても同じ
親子の絆、支援者との信頼関係を築くために
    共感して聴く・声にならない声を聴く・言葉や行動の背後に想いを寄せる
    当事者の話をしっかり聴くことよりも大切な時間は人生に無い
    私達は全部分かっているつもりで、実は何も分かっていない
    聴くことで当事者の苦しみへの理解が深まり、新たな人生の展望が開ける
  自分の価値観、人生観、世間の常識を安易に押し付けない
    安易な助言やお説教をしない、教訓を垂れない・それは自己満足
    お説教で人は変えられない・理解と共感だけが人の心に響く可能性を持つ
  自己肯定感を育てるような支援を心がける
    共感して聴く・善悪清濁、怒りも偏見も全てをまず受け容れる
当事者の存在意義、生きていることの価値を認める <我が子の農業志願の例>
悩み苦しみが、その人の人生の厚みを作る・他者へのいたわりの気持ちを育てる
不登校は人間として成長していくために必要なプロセスだと考える
パーフェクトな親、支援者でなくてよい
    全てを読み切り、最善の結果を導くことは誰にもできない・それを目指さない
    その時々のベストを尽くす事で許される
    失敗を重ねながら親として、支援者として成長していけばよい・そのことに意味
  親自身、支援者自身が心豊かに生きる・その後ろ姿を当事者は見ている

当事者としてどう生きるか(これは伝えることはできないことだけれど)
  不登校は、誰にもできない貴重な生活体験、人生体験の一つ
それは人生にとって、負い目にも、マイナスにもならない・むしろプラスになる
人生で大切な事は、自分がどういう価値観を持って生きるか
  朝、寝床で聞くスズメの声は騒音か、さわやかな朝の音楽なのか
  街路樹の落ち葉はゴミなのか、秋の訪れを告げる使者なのか
  畑に生える雑草は作物の邪魔ものか、作物の味方なのか
自分の人生を、精一杯、心豊かに生きる
  誰もがお金持ちになることはできないが、心豊かに生きることは誰にもできる
それはやろうと思えば誰にも出来る人生の選択、難しいことではない
日常身辺にある小さなものに目を留める・小さなものを愛すると人生は楽しい
自分の心の痛みを通じて、人の心の痛みを想像する・やさしさが育まれる
この二つがあれば、誰でも、心豊かに生きられる
  自分が、自分らしく、心豊かに生きていれば、いつか周囲に、あるいは社会に伝わる
その彼方に、必ず新しい人生の展望が見えて来る

社会的自立に向けた準備
日常生活
  昼夜逆転OK、ひきこもりもOK、家庭が安心できる場所であることが第一
    料理、洗濯、掃除、買物、生活体験を大事にする・楽しむ
    何か一つでも二つでも、役割分担してもらう
    そのささやかな達成感、成功体験が自信になる
    日常生活の中にあるささやかなものに目が届くと、人生の楽しみが増える
    生活体験が社会的自立の基盤になる・生活体験が体や心の安定、自信を作る
  遊  び
    遊ぶ場所、遊ぶ時間を奪われたことが、現代の子ども達の最大の不幸
    人間が本来持っている自然な好奇心を目覚めさせる遊びが一番
    自然の中での狩猟・採集・その延長としての生き物を飼う・自然観察する
    身近な自然の中に楽しみが見つかると生き方が変わる
    勉強より遊びが大事・遊びの中身が大事
    ネット依存もOK、禁止や取り上げでなく、
本当の遊びの喜びを体験することを通じて自然に抜け出していきたい
勉  強
  勉強の遅れは心配いらない・本人がその気になればすぐに取り戻せる
    勉強に対する常識を覆すことが大事
学校の勉強が人生の勉強の全てではない
学校でする勉強は人生にはほとんど役に立たない
たくさんの知識を記憶することが本当の勉強ではない
    勉強は楽しいものでなければ意味がない
自分に合った勉強の仕方をマスターすると勉強は楽しくなる
目的が明確な勉強であればやる気が湧いてくる
「その時」が来るので待つことも大事
    勉強以外の勉強をたくさんする・読書、自然観察、山登り、釣り
  到達目標
    身の回りの事が自分で出来る・楽しめる
    小さなものを愛する好奇心
    人の心の痛みに思いを寄せる想像力
      この二つがあれば、どんなピンチにも耐えて希望を見付けられる
もし、目の前に困っている人がいたら手を差し出そう・世界が違って見えて来る
人を助けると自分が救われる・それを「幸せ」という
    素敵な人に出会う力、コミュニケーション力は心豊かに生きる術を身に着ける
ことで自然に身に着く

コミュニケーションする力をどうやって身に着けるか・もう少し詳しく
  コミュニケーションは社会で生きて行くために必須の能力
  コミュニケーション力の獲得は難しい事ではない・これも常識を覆すことが大事
  コミュニケーション力は誤解されている
それはテクニックの問題ではない・その人の人生観、価値観の問題
自分らしい生き方、ものの考え方を確立することがすべて
  引っ込み思案、恥ずかしがり、人付き合いが下手、口下手の私にもできる
    多くの人、全ての人とうまく付き合う必要はない・本当に大切な人は少数
    群れない勇気、孤独を楽しむ勇気、このささやかな勇気が素敵な人に出会うコツ
    人の見分け方――多くを語る人よりも、語らないで人に譲る人が大切な人
            私のように人付き合いが下手な人に悪人はいない
    人と仲良くなる方法――
      信頼関係を築く努力は必要・人の話を聴くこと、時に応じて自分を開くこと
      自分を開くと、相手も自分を開いてくれる
      しがみつかない・去る者を追わない、来る者を拒まない、
そういうキャパシティを蓄える
  結論・孤独を恐れず、心豊かに生きることが最大のコミュニケーション力

進  路
  選べる進路はたくさんある・その情報提供だけはしておく
  焦らない・浪人OK・来年も、再来年も、人生の時間は十分にある
親の考えで進めない・本人が決めることが大事・決めることを急がせない
本人が決めたことが失敗しても責めない

相談窓口
  県立心の教育センター
  市町村では教育研究所
  学校・スクールカウンセラー
  たんぽぽ教育研究所
  はまゆう教育相談所
  <気を配りたいこと>
    不登校についての理解の度合いには、相談者によって大きな個人差がある
    相談窓口で傷を深くすることもある
    自分で実際に会って話して、人物、力量を確かめておくことが必要
    安心して委ねられる施設、窓口は残念ながら少ない
    日頃から自分の人のネットワークを作る努力をしておくことが大事
    
最後に、子どもの幸せとは何だろう?
  幸せの形は一人一人違う・その違いを認めることが大事
  人生における成功とは何か・世間は勘違いしている
    よい学校、よい会社で必ずしも人は幸せにはなれない
  人生のピンチは誰にもいつか訪れる
  挫折・敗北からもう一度立ち上がる力、生きる力を身に付けることが子どもの幸せ
それはどうしたら身に付くか・人間への信頼を育てること
それができる家庭、学校、地域社会でありたい
それは私達みんなの責任・たんぽぽはその責任を果たす場所のひとつ
  自分の苦しみや哀しみを理解してくれる人が一人でもいれば
私達は生きる希望を持てる、生きてゆくことができる
    人に分け隔て無く接して生きていれば、そういう人に必ず出会える
    その時、私達は不思議な希望、不思議な幸せに出会うことができる
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